オリーブオイル・バルサミコの輸入会社|ヴィボンコラム

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以上の「オリーブオイルと揚げ物料理」はIOC国際オリーブ協会が2001年に日本語で出版された「オリーブオイルと健康」から抜粋したものです。「オリーブオイルと健康」はオリーブオイルが人間に与える影響を医学的、化学的な専門家による多くの実験をとおして得た結果からつくられたものです。

これらの研究成果は現在も通用する優れたものですが、出版から20年以上経過した今、油脂への加熱によってトランス脂肪酸という問題が生じてきていることから、これについての情報を以下に追記します。なお、トランス脂肪酸については農林水産省から基本的な解説がNET公開されています。

トランス脂肪酸とは油脂の変異した脂肪酸のことで、多く摂取することによって生活習慣病、心臓疾患のリスクがあることから、脂肪の摂取量が多い欧米では規制をしている国もありますが、日本では国としても脂肪の摂取量が欧米ほど多くないことから今のところ問題視していない状況ではあります。

トランス脂肪酸は天然では牛や羊などの反芻動物(複数の胃をもつ動物)では胃の中の微生物の影響でトランス脂肪酸がつくられるため肉や乳製品に微量ですが含まれます。

人工的には二つの原因がありますが一つ目は油脂の加工で、液体の油を固形の脂にする場合、水素を添加することによってつくられます。植物油からつくるマーガリンなども水素添加の一例です。
もう一つは、油脂を精製する脱臭工程で、水蒸気により高温で加熱される段階でつくられます。この加熱によるトランス脂肪酸の発生は、製品化した油脂を加熱しても増えていきますが、以下の実験
の結果を見てもわかるように加熱に強いオイルはオリーブオイルです。


オリーブオイルにおいてトランス脂肪酸の変化が最も少ない理由を証明する試験結果等はありませんが、熱酸化に対して最も劣化しない油であることと同様に、バランスの良い脂肪酸組成と豊富な抗酸化成分を含んでいることと考えられます。


この研究により、Kritchevskyらが先に行った研究の成果も確認されました。この研究は215℃で20分間加熱したオリーブオイルまたはコーンオイルに2%のコレステロールを溶かし込んでウサギに与え、その影響を調べたものです。(258)これらの実験から、Kritchevsky らは、コーンオイルを加熱するとオリーブオイルよりはるかにアテローム発生率が高くなると結論づけています。

 胆管への影響に関してはCharbonnierの研究があります。(259)この研究では200℃で3時間加熱してもオリーブオイルの胆嚢運動促進作用が失われないことが示されました。具体的には健康なボランティアの十二指腸にバージンオリーブオイルをそのまま、または加熱後に40ml注入したところ、その胆汁分泌及び排出の促進効果や胆汁の組成には全く違いが見られなかったというものです。対照的に、不飽和度の高い他の油を用いた場合、加熱により効果に違いが認められました。

 Varelaらはオリーブオイルを揚げ油として用いた場合、どのように食材に浸透していくかを調べました(244、260、261)。その結果、他の油脂がほとんどすべての食材に浸透するのに対して、オリーブオイルは食材の表面にとどまることが示されました。また、肉やイワシなどを10回揚げた後に使用してもオリーブオイルの消化の良さは変わらないことも報告しています。(262,263)

 以上の知見をまとめると、油を必要以上に長く加熱しなければ生体に有害な作用をもたらす物理化学的変性は生じないといえます。家庭では通常、加熱時間が限られており、油を繰り返し使いこともありませんので、この意味では安全といえます。しかし、揚げ物料理店では加熱時間が長く、油も来り返し使用されますので、同列には論じられません。もっとも、そのような店の商品を頻繁に口にするのでなければ、非常な高温で長時間加熱した脂肪を毎日与えられた動物に見られるような障害は起こるべくもありません

 オリーブオイルが熱酸化に対して最も劣化しない油であるということは、細胞や生体を用いた試験で証明されています。オリーブオイルのこのような特性は、バランスの良い脂肪酸組成と豊富な抗酸化物質によりもたらされるのです。

著 ・ 監修
Publio VIOLA プブリオ・ビオラ  
元ローマ大学医学部教授 ローマ・サンジョバンニ病院内科医長 
Accademia Nazionale dell’Olive dell’Olic において1998〜2014同アカデミアの会長を務める


熱処理後の油脂に生じる物質は肝臓、心臓血管系、腎臓などに毒性を及ぼす恐れがあります。また、動物の成長を遅滞させることもあります。さらに揚げた食材の栄養価が損なわれる可能性も看過できません。(250)

 油脂の熱酸化によって生じた分解産物の毒性については、これまでほとんど動物実験しか行われていません。また熱酸化実験にしても揚げ油を長時間高温にさらし、場合によっては空気を吹き込むなど、常に極端な条件下で行われてきました。このような実験の結果は参考にはなるものの、そのままヒトに当てはめるには無理があります。

 これまで繰り返し説明してきたように、過酸化現象によって最も大きな物理化学的変化を受けるのは多価不飽和脂肪酸であり、抗酸化物質が存在すれば過酸化現象には歯止めがかかります。オリーブオイルには抗酸化物質とオレイン酸が豊富に含まれていますので極端な高温で長時間揚げ物をしない限り明らかな変化は起こりません。また、ある動物実験では、170℃で2時間加熱した飽和脂肪(バター、ラード)と多価不飽和脂肪(ひまわり油)の摂取によって肝臓が損傷を受けました。しかし、同じ処理をおこなったオリーブオイルでは肝臓には全く損傷が起こりませんでした(251)。ただし、170℃を超える温度で72時間加熱したオリーブオイルでは肝臓に損傷が発生しました(252)。

熱酸化した油は脂質代謝や心臓血管系にも悪影響を与えるようですが、このことに関してこれまでに得られた知見は必ずしも一致していません。Gabrielらは心筋中に脂質を検出し、その原因を脂質代
謝異常に帰しましたが(253)、この現象を他の研究者は追認できていません(254,255,256)。 
また、GrandgirardはGabrielらの実験結果は食材を極めて長時間加熱したために必須脂肪酸が実質的に失われたことで生じたものだとして、強く批判しています(256)。

 
多価不飽和脂肪酸が熱酸化すると心臓血管系に作用して変性を引き起こすようになるようです。この点については、Gianiらの研究が特に興味深いものです。(257)彼は血小板と内皮細胞におけるプロスタグランジン合成を研究するとともにプロスタサイクリンとトロンボキサンのバランスを調べました。バランスは血栓とアテロームの形成に影響を与えるため、重要な意味を持っています。その結果、適切な量のビタミンEが存在する時ですら、熱酸化した多価不飽和脂肪酸を投与すると生体内で過酸化反応が起こり、血しょうトコフェロール値が下降することが確認されました。血小板のトロンボキサン産生と大動脈内皮におけるプロスタサイクリン産生がいずれも低下したことは特に重要であり、このことはエイコサノイドの合成、そして究極的にはアテローム性動脈硬化の発症に過酸化脂質が深く関与していることをさらに裏付けるものです。

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